千葉|「相続なんでも相談事務所」、いそがい行政書士事務所

1.『法定後見制度』について

 

法定後見制度』は認知症や知的障害・精神障害などによって、本人が物事を判断する能力が不十分になった時に、その人の「後見人等」を家庭裁判所が選ぶことで、本人の権利を法律的に守る制度です

 

法定後見制度』には、「後見」「保佐」「補助」の3種類あります。

 

これは、本人の判断する能力の程度に応じて分けられているもので、本人を保護する人(後見人等)の代理などできる範囲が異なります。
本人のことを「被後見人」「被保佐人」「被補助人」と呼ぶのに対して、保護する人のことを「後見人」「保佐人」「補助人」と呼びます。

 

後見人等」は、本人の「財産管理」と「身上監護」をします。

 

財産管理」は、その名のとおり財産の管理ですので、通帳の入出金の管理や不動産の権利証の預かりもします。

 

身上監護」とは、介護施設への入所の手続きや入退院の手続き、福祉サービスの利用手続きなど、本人の意思を尊重しつつ安定した生活をおくることができるよう手伝わせていただきます。「手続き」という字が多いように、直接お買い物に行ったりお料理をしたりはしません。

 

 

参考程度ですが、本人の状態を表しました。

 

 

「買い物」のたとえも書きましたが、実際どれになるのかは、家庭裁判所が医師の診断書などを参考に判断します。

 

 

被後見人」→ 法律行為は、原則「後見人」が代理※1します。
「被後見人」がした法律行為は「取り消す」※2(取消権)ことができるからです。

 

例外として日用品の購入など日常生活に関する行為は取り消しできません。これは「被保佐人」「被補助人」にも当てはまります。又、子供の認知や、婚姻など、その人自身の権利や義務であって他人が行使できないもの(一身専属権)は代理することはできません。

 

被保佐人」→ 本人が民法13条1項にかかれていることをするには、「保佐人の同意を得る必要があります(同意権)。もし同意なしに行った場合、取り消すことが出来ます。民法13条1項にかかれていることは、ざっくり言うと、借金をする、相続放棄をする等本人の財産が大きく変わってくることや訴訟行為などです。民法13条1項にかかれていること以外にも家庭裁判所の審判で追加することができます。

 

被補助人」→ 「補助人」に「同意権はありませんので、「同意権付与の申立て」をする必要があります。但し「同意」できる範囲は、民法13条1項にかかれている一部です。この申立てをする場合に「本人」の同意が必要です。

 

保佐人」「補助人」は「後見人」とは違い、本人に代わって法律行為をする「代理権は当然にはありません。代理権が付与されるには「代理権付与の申立て」が必要です。この申立てをする場合には「本人(被保佐人や被補助人となる人)」の同意が必要です。代理できる行為は、登記事項証明書に書かれます。ここに書かれていないことを代理するには、改めて家庭裁判所に「代理権付与の申立て」をする必要があります。

 

「保佐人」「補助人」が同意や取消しを行うには、本人に話しを聞き、本人の利益になるかどうか判断して行う必要があります。

 

『法定後見制度で知っておくべき大事なことは、一度「後見等が開始」されると、本人が判断能力が回復するか(あまり期待はできません)、亡くなるまで終わりにはなりません。
一時的な理由、例えば銀行口座の解約等で「後見人等」をつける場合でも、その理由が終われば、それで終わり、ではないのです。
又、「後見人等」は、家庭裁判所が選任します。「娘の私が後見人に選ばれなかったから申立てを取下げます…」ということはできません。本人と面識がない人が「本人」の財産管理や身上監護をすることにもなるのです。

 

上記の点が、判断力がある時に、信頼できる人に、あらかじめ自分の希望や意思を伝えておくことができる『任意後見』とは大きく違うところです。

 

 

代理※1 第三者が本人に代わって事を行うことで、第三者に「代理権」を与えたとしても、本人自身が行うこともできます。

 

取り消し※2 取り消すとその法律行為がなかったことになるので「お金を支払って物を受け取っていた」場合、返金され、物を返さなければなりません。「法定後見」では取り消すことができる人も限られています。(本人、後見人等)


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